札幌円山整体院が教える成長期の適切なトレーニングの考え方
成長期の子どもや青少年にとって、適切なトレーニングは体力の向上やスポーツパフォーマンスの向上だけでなく、全体的な健康維持にも重要になります。
しかし、成長期の身体はまだ発達途中であり、過度なトレーニングや不適切な運動、乱れたフォームは怪我や成長障害の原因となる可能性があります。
日本スポーツ協会やサッカー協会には、幼少期から成人までで、どの程度の負荷で運動するのが効果的か、また筋力・持久力・敏捷性など成長段階においてどの種類のトレーニングをすることが望ましいかという説明をしているガイドラインのようなものがあります。
このガイドラインでは私たちが生まれてから成長していく中での、発育発達の機序に則り作られています。
では、その成長段階においてどのようなトレーニングをすることが望ましいのかを紹介していこうと思います。
成長段階による身体の発育
人には身体の各器官の成長速度に差があり幼少期から成人になるまで時間をかけて全ての器官が成熟していきます。
その中でアメリカの解剖学者リチャード・スキャモン(Richard E. Scammon)が1920年代に提唱したもので、異なる身体システムの成長パターンを示しています。
それはスキャモンの成長曲線と呼ばれており、人体の成長を以下の4つの主要なシステムに分類し、それぞれの成長パターンを視覚化したものです。
その成長パターンとは下記の4つです。
リンパ系
リンパ系は出生後から急速に成長し、10~12歳頃にピークに達し、その後減少して成人レベルに近づきます。
神経系
神経系は出生後から急速に成長し、6歳頃までに成人の約80%に達します。12歳頃にはほぼ完成します。
一般系(筋肉など身体全体の成長)
一般系(身体全体の成長)は、幼少期に急速に成長し、その後成長速度が緩やかになり、思春期に再び急激な成長が見られます。
生殖系
生殖系は幼少期にはほとんど成長せず、思春期に成長します。
各時期のおすすめトレーニング
発育の時期をここでは幼少期(6歳まで)学童期(6~12歳)青年期(12~20歳)成人期(20歳~)と定義します。
基本的にはどんなトレーニングをしたらいいか?ということを考えるときに、神経系の成長と一般系の成長時期を考えることが大切です。
神経系は6歳までに大きな成長をし、その後12歳でほぼ完成系になります。できる限り早いうちに神経系が働くように様々な動きや刺激を入れることが大切です。
この頃は(幼少期から学童期)さまざまなスポーツや遊びで色々な身体の使い方を行い学ぶことをお勧めします。
次に一般系の成長は幼少期に一度大きく成長した後、青年期に再び大きく伸びます。一般系は身体を作っている骨や筋肉や臓器といったものが成長します。そのため、幼少期や学童期にたくさんの筋トレをしても筋肉の成長が間に合わないのです。
身体の成長がピークを迎えた頃(高校生くらい)に筋力を増やすためのトレーニング系をすることをおすすめします。
青年期の初期(中学生)では、一般系の成長の中でも心肺機能の向上が大きく関わります。ランニングなどで心肺機能への負担を徐々に上げていき、体力をつけていきやすい時期になります。
成人期になると、神経的機能も身体的機能もおおよそ完成しています。この時期からはより技術力(スキル)を深めていくことが大切で、今までの運動で培ってきた感覚を研ぎ澄ましていく過程になります。
成長期のトレーニングはとても大切です。
やり方によっては、身体に負担をかけすぎてしまいオスグッド病や腰の分離症などの怪我につながる可能性もあります。
また、スポーツ特有の投球動作やキックモーションなど、特異的な動きがある場合も繰り返しの動作で負荷がかかるため、怪我につながりやすいです。
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